ロマネスク世界線における世界史

照合作業のないままの思いつきの残滓。世界史とも原点とも多分整合性が取れないところがある。


霊力文明と魔女狩り

北アメリカ・英国勢力下と神聖ローマ帝国において最も苛烈

結果18世紀にロシアを中心に起こる霊力による近代化が不可能に

機械文明一辺倒の近代化を進めた西欧と霊力を使う近代化を目指したロシアとオスマン・トルコ、レイトカマーとして両立した路線を進める大オーストリアと日本。

機械文明思想「人類に害をなす妖を討ち滅ぼし、科学の叡智である機械文明による進歩を進めねばならない」そのための錬金術

妖力文明思想「存在を脅かす妖に対して一矢報いるために超自然の霊能力を高め、妖の制御を通した文明を構築するべきである」伝統的な霊能力者を重視

錬金術系は後者から始まったけれど徐々に機械文明の「妖を討ち滅ぼす」思想が混じり、「正しい世界は妖が滅ぼされた世界」というグノーシス主義かつ規範主義的な思想を持つようになる。

戦争によって広がる恐怖が妖魔の増大を引き起こし、時に人類同士の戦争の結果を左右することがある。

明治維新史

妖魔の出現で史実より大きな被害をもたらした島原の乱と史実よりも強いキリシタン弾圧と脅威論

田沼意次が失脚せず蝦夷地開発と対ロシア貿易の促進

1778年のアンチーピン外交の際の松前藩の反応が好意的なものに

結果蝦夷と出島の2つを核とした対外貿易が主となる

貿易をしつつも脅威論と同居した鎖国体制

1797年のナポレオン戦争でオランダがなくなった際のキリシタン脅威論の勃興と対オランダ貿易終了

貿易パートナーとしてロシアが唯一となり、対妖魔的な思想の親和性で北方貿易と交流の意義の拡大

1842年のアヘン戦争での英国機械文明の勝利と機械文明脅威論、結果ロシアとのさらなる接近

幕府はロシアとの交易を直轄化、独占する。徐々に配下の霊能力者を幕府体制の維持のために使うようになり、能力者と朝廷の間で不満が貯まる

1851年太平天国の乱で現れた妖魔を封じ込め、ロシアの対魔勢力の旗手としての位置が確定、日本は近代化を目指し始める。

この時点でアヘン戦争のダメージも含めて清は大打撃を蒙り弱体化。大陸の空白に南からアプローチするイギリス対露の構図

明治維新は開国・攘夷ではなく対露協力を重視する伝統派と西欧機械文明を通した発展を目指す進歩派の間で起きる

進歩派は英国の強さを目の当たりにした薩摩長州土佐の各藩、薩英戦争などの脅威を知っているので機械文明による大攘夷を目指す。幕府の貿易独占体制に特に批判的。

伝統派は奥羽列藩同盟を核としつつも、ロシアからの霊力技術と伝統的な霊能力者を独占する幕府に対する不満がある。日本的霊能力者を手中に取り戻さんとする朝廷を味方につけ、幕府・進歩派藩の両者を一掃する。この上で松前藩の対露貿易と技術蓄積が大きく貢献する。

維新後幕府が大政奉還、明治政府として奥羽列藩同盟を中心とした新政府によって妖力を重視しつつも欧米列強の視察の結果機械文明と妖力文明の両方を進める富国強兵政策が進められる。

李氏朝鮮における1894年の反乱に際して維新後の日本とロシアが協力して派兵、清の弱体化が決定的となる。

ロシアと組んだ日本を脅威視した英仏による(対露脅威論が1851年以後高まっていた)台湾と大陸南側のロシア租借地への介入をきっかけとした戦争が1910年に発生。英国を始めとした機械文明勢力は撤退を余儀なくされる。

結果的に英国を始めとした機械文明勢力は4年後の人魔大戦でさらなる打撃を蒙り、欧州での対魔戦争の協力体制に参加せざるを得なくなる。

第一次人魔大戦の開戦理由と経過(欧州戦線)

2つの「近代化」の台頭と確執

アジアに進出する機械文明列強(英仏)

中東・アフリカ地域における英仏の苦戦

対妖魔技術発展の先を行くロシア帝国による中東攻勢と大英帝国のにらみ合い

1914年東ヨーロッパにおける妖魔の勃興・攻勢

英仏独における霊能力者の不足

機械文明に頼った間違った近代化と魔女狩り

成立間もないドイツ帝国の苦戦と東部戦線の後退

対照的なロシア帝国の妖力による近代化

ロシアの技術供与による戦線膠着

ロシア革命は発生しない

各帝国のスタンス

新大陸→南はスペイン、北はフランスとイギリスが支配下においていたが、インディアン勢力と結託した革命派がロシアの支援も手伝ってイギリスとフランスを下し、アメリカ合衆国が誕生する。

英:植民地帝国ではあり、インドとインドシナ、アフリカは確保しているが現地の妖による抵抗にあって治世に苦戦していた。そのため能力者確保のために新大陸に進出。アメリカ独立以後アフリカに注力している。ロシアに追いつくために機械文明との親和性が高い錬金術研究を進めているが遅れを取っている。また対抗するにも霊力の高い能力者の血筋が残っていないため対魔能力が低い。

仏:同上。魔女狩りの影響で英国より更に能力者資産が少なく苦労していた。アフリカの東部も多くで苦戦。能力者確保のために新大陸に進出。アメリカ独立以後はアフリカに注力。英国と同じく錬金術をメインとした対魔技術研究を進めているがオカルト的なものと啓蒙思想が対立しうまく行っていない。英国と同じく魔女狩りの余波で霊力のある人材が少ない。

蘭:インドシナと南アを確保。オラニエ公のもと独立を果たすが植民地の統治には同じく苦戦。アメリカ独立の際には合衆国の支援に回る。錬金術路線を模索。

西:南アメリカを確保する。対妖力の資産があるために史実通り中南米に帝国を築く。アメリカ独立後は対立を深めるがプレゼンスは失わなかった。

独:史実以上に出遅れる。プロイセンはシュレスヴィヒ・ホルシュタイン戦争での妖魔対処ができず北欧で苦戦。対妖力資産が無いためザクセンを中心とし、オーストリアとともに大ドイツ主義的な統一を1870年になす。

オスマン・トルコ:中東地域に進出、汎スラブ主義でロシアと対立し、クリミア戦争にてロシアとオーストリアに敗北、バルカンはロシアとオーストリアの勢力下に入る。その後英国とフランスとの協力を画策し、ロシアとオーストリアからバルカンを取り戻そうとしているが、路線自体はイスラム教をもとにした霊力派。

オーストロハンガリー:クリミア戦争においてバルカン半島でロシアと衝突、ロシアとのにらみ合いが続く。プロイセンの弱体化でオーストリア主導で大ゲルマン=ハンガリー帝国を築く。魔女狩りの余波でオスマン・トルコとロシアに対して対魔資産が薄いため両立させつつも機械力に比重を置いた近代化を模索。早くから錬金術研究をしていた国の一つ。クリミア戦争以後は、特に注力して流出するロシアの錬金術師を取り込む。ロシアに一矢報いるためにバルカン半島での一撃を画策し、これが人魔大戦の引き金となる。

ロシア:霊力を近代化に使う路線にはずみをつけた帝国。同時に進めていた機械力との融合で急速に力を付けた。ロマノフ朝中期からの能力者の保護により能力資産は豊富。錬金術にも早くから目をつけ、注力していたが錬金術師の歴史を正すという思想を王室が問題視するようになり、人魔大戦前後から欧州での錬金術研究需要の高まりもあって国内から錬金術師が流出している。

アメリカ:独立戦争時アラスカ経由での支援があり独立以後ロシアとの関係は良好。対魔ノウハウの関係でインディアン勢力が政府において史実よりも重要な位置を占めている。のちの大戦にはロシアとともに大きく貢献。建国後ロシアとの住み分けとして、またアラスカを窓口とした対露貿易が可能だったため西太平洋への進出は行わなかった。スペインとの対立を深める。

北欧:19世紀までは対立を深めていたがナショナリズムが高まる中でヴァイキング時代の能力資産を「発見」、以後デンマークとスウェーデンは協調路線を取る。デンマークはプロイセンを霊力利用によって退けた。ロシアとはバルト海で対立する。

日本:ロシアとの友好関係を結んでいるが、思想的にはレイトカマーとして両立路線を取る。西欧からの機械文明を取り入れ松前藩時代からの錬金術技術育成、かつ戦力として朝廷が主導する陰陽師、僧侶、巫女などの能力者の戦力化を行っている。

人魔大戦

妖魔の力が強まっていたバルカン半島においてオーストリアと英仏による機械文明による妖魔への攻勢が始まる。この開戦にはバルカン半島において妖魔を一掃し、増大するロシアに対する牽制と橋頭堡を築く目的があった。

オスマン帝国もこれに参戦

しかし戦火の拡大で人々に恐怖が広がり妖魔の増強を招く

結果英仏の脆弱な対魔防御から戦線がほころび中欧を飲み込む

ロシアも即時参戦するも、増大した妖魔勢力の規模と戦闘が想定と異なた対テロ治安作戦的となったことが重なり対処が遅れる。

オランダ、フランスと後退を続けていく中、滅亡の危機に瀕した西欧諸国に対してロシアの仲介でアメリカが支援開始する。北欧連合も半ば自衛のため参加。

西部戦線における介入と時を同じくしてオスマン帝国から中東地域にも戦火が広がる。

日本もこれに参加、海路で中東と欧州に派兵。この時点で人類連合を構築。巻き返しを図る。

満州とサハリンで行われていた日露の共同研究成果が勝利に大きく貢献する。

ロシアには能力資産があったが、神出鬼没の妖魔に対処する治安戦的な想定外の戦闘形態だったため当初は苦戦

フランス、イギリスは各植民地での治安戦の経験はあったが能力資産の欠如で苦戦

協力体制の構築で人類側に治安戦ノウハウと資産が集まり、対魔治安戦の戦術研究と神通玉鋼製の装備が整った1917年ごろからようやく反攻作戦が可能になった。

この研究で欠かせなかったのが戦線のはるか遠くに位置するアラスカにおける研究拠点だった。欧州の研究成果がアメリカ経由でアラスカに集まり、各国の成果の融合と研究開発が行われた。

封じ込め以後は連合の参加国の間で「怪異保全同盟」を結び、怪異の監視と対処の機関として帝国を始めとした列強が参加した。人類同士の対立を発端として被害が拡大した大戦への反省から、また人類同士の争いを起こさないために「怪異を制御下に起き、被害を少なくする」、という目的のもと動いていた。

しかし錬金術を核とする派閥はその限界が提示されたにもかかわらず「怪異を滅ぼし、歴史を正しい姿に戻す」という思想に固執するものが多く、怪異保全同盟と対立する。

またロシアは妖魔の力を制御するばかりか軍事転用し、次の戦争での効果的な兵器として使用するための研究を模索しており、長らく位置づけが微妙だったサハリンと満州の一部において帝国政府との共同研究を開始、程なくして帝都においての実験が始まった。

技術的影響

神通玉鋼

一般兵の対処能力向上

 材料工学・冶金学の発展

高精度狙撃銃の著しい発展

近づかない、という戦法に適した兵器開発

中間弾を使用した自動火器

治安線における至近距離での作戦

神通玉鋼等での材料工学発展

交戦距離の短縮が早まった(史実では塹壕戦以後徐々に変化、ライフル弾の自動火器はWWII以後)

妖力と電信を使用した複合型通信機

情報の速度の向上→アラスカへの集約が容易に

通信技術は融合を目指した日本を大ゲルマンが追う形

治安戦術

非対称戦的な脅威への対処

(悪ノリ)史料散逸と帝国政府のアーカイブ問題について

本稿は人魔大戦を、取り巻く世界の状況を我が国からの視点とその他列強の世界的な視点に立って描かんとしたものであるが、記述に関していくつか言及せねばならないことがある。

本稿ではなるべく多くの資料を参照し、正確な記述を行うことに力を入れているが、特に能力資産の概要と戦力化された技術は各国において厳しい管理がされており、我が国においても現在に至るまで枢密院、錬金術省と軍によって資料は機密扱いを受けている。

また欧州で進められていたであろう研究に関しては大戦初期に欧州での成果の多くが失われ、口伝としてアラスカに渡ったものも多い。そのため「閲覧できる資料」そのものの数が極端に少ない。当時の研究者も戦乱によって世界中に散らばり、聞き取りを行うことも難しい。

また帝国政府、並びにロシアにおいてもこれらの資料は公開されていないうえ、アラスカ、また戦後の満州と樺太での研究は全体が未だ謎に包まれている。本稿の霊力技術に関する部分は詳細の明かされない公式史の「人魔大戦」関連の記述と戦闘に参加した兵士たちの回顧録などをもとにした不完全な歴史であるため、その記述、並びに解釈が史実に即していない部分が多くあるはずである。

霊能力や妖魔についての詳細が知られることは妖魔勢力の増大と強化につながるため各国とも秘密主義的な路線をとっており、とくに錬金術師の間での情報統制が厳しい。

また欧州大陸における大戦以前の歴史資料はほぼ全てが失われているため、本稿の英仏をはじめとした欧州諸国に関する記述は北欧連合に残るアーカイブの公開部分と旧植民地に残る断片的な資料、また当時の盟主であったロシア帝国の歴史観が強い帝国公式史による部分が大きいため、ロシア帝国の勢力拡大、「能力資産」の全貌など謎が多く残る部分が多く存在する。歴史家としては願わくば将来、各国において関連するアーカイブの公開を望むものである。

[枢密院検閲済み]

https://twitter.com/walterinsect/status/952857084344897536

http://seesaawiki.jp/nittanya_romanesque/

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