シャニマス歌会第十一回提出作解題・改稿

シャニマス4thをきっかけに何故か手を出した短歌を詠む趣味の第一段階として「シャニマス詩歌部」Discordサーバーで開催の歌会に参加した。4首出したやつの解題と評価がいまいちだった作品の改稿というのをやってみようと思う。

pSR【ワン・モア・フラワリング】桑山千雪
https://twitter.com/_shinycolors_/status/1186243486984609792?lang=ja

書:待ち合わせ書淫の君のかんばせ眼鏡がんきょうキラリ映る黄紅葉

題材として「書」を考えた時に、真っ先に思い浮かんだのが桑山千雪さんのこの1枚だったのでそこから作ってみた。

コミュでも中心に置かれている印象的な彼女のアンダーリムのメガネと、文庫本を読む女性の画がすごく好き(多分新海誠が悪い)なので取り上げ、秋の黄色いイチョウの鮮やかさが映り込む、という写真的な歌になった気がする。

このシチュエーションを思い出したとき、昔TLで見つけた「書淫」という言葉をどうしても使いたくて詠み込んだが、正直プラスに働いていない気がする。読み返してみると写実に寄りすぎて、若干心情についての広がりが持たせられていない歌な印象なので推敲の余地があったかもと思った。「がんきょう」「かんばせ」は書淫の古い響きに引っ張られているが、手を入れるとするとこのあたりか。

待ち合わせ書淫の君が顔上げる 黄紅葉レンズ越しの瞳に

待ち合わせ書めくる君のメガネの紅黄葉の色の新しい光 

「書淫」を活かすなら上、コミュのコアだった「新しい魅力」につなげるならば下だろうか。本当は文庫本と指でも詠めそうな気がしたが題字が行方不明になったのでボツとなった。

覚:遠雷に覚める午睡の寂しさに見舞いの君を留めたくなる

次にクリアに題材が思いついたのが「覚」で、これはもうこのカードしかないだろうということでいくつか作ってみた。

sSSR【雨情】樋口円香
https://twitter.com/shinycolors/status/1399246272591134725

【雨情】のコミュ1話「場面・雨」には、風邪気味で学校を休んだ円香を小糸が学校を抜け出して見舞う場面が描かれる。斬新なコミュ表現で度肝を抜かれた思い出がある。この「病欠の昼に雨音で目が覚める」というシチュエーションがすごく印象に残っていたので、コミュが見られない環境でとりあえずこれに目星をつけた。

実はこの遠雷と雨音の話を思い出したとき、『言の葉の庭』で中核に置かれている

雷神なるかみの少しとよみて さし曇り 雨もふらぬか 君を留めむ

雷神なるかみの少しとよみてふらずとも 吾は留らむ 妹し留めば

の歌を思い出し、本歌取りといわずとも何かしら含められないかなと思ってもいたので、「遠く響く音」「世界との壁・遠さ」にフォーカスしたもの思い出せるそこをどうにか歌に出来ないかなと思ってこねくり回していた。

その後コミュの再読をした結果、円香が何度も小糸を引き止めていることにも気が付き、「まどこい勢が死ぬんだが????」となり、余計にこの2首につながるなあと思い、焦点を「留めたくなる」に置いて、再構成した結果でこうなった。

雨情のコミュが印象的だった方が多かったのか、この題で3位と評価が高かったので嬉しかった。

独:博愛の君架く虹の境目に隠れたる藍 水槽の独り

独は実は自分が提出した題字案だったのだけれど、思ったより苦労した。案としては特定のカードに依らずSHHis、はづきあたりで考えていたのだがうまいこと出てこなかった。

【チエルアルコは流星の】八宮めぐる
https://twitter.com/shinycolors/status/1119123796839919616?lang=da

最近(悪いオタクにそそのかされて)読んだ【チエルアルコは流星の】→めぐるGRAD→めぐるLP→Star n dew by meの流れを思い出したところ、「独り」は対比させることで光るだろうと思いめぐるで詠んでみることにした。(チエルアルコおじさんの再生産)

不勉強だったので調べている時にチエルアルコ→Cielarko→虹という話をようやく理解し、虹のモチーフからその境目、輪郭に隠れる孤独の色というものを核に置くことにした。その三句と四句から広げていったが、結句に大変苦労したうえに「隠れたる〇〇」をうまいことひねり出せずに期限が迫ってしまった。最終的に「アイ」の響きを採用して藍として、チエルアルココミュの水槽から「水槽の独り」とした。若干苦し紛れの作品になってしまった。

今思えば「藍」が「虹」と意図しない形で響き合っていてテーマの焦点がぶれているのと、「水槽の独り」だと題字にもいまいちスポットが当たっていない上にテーマが薄まっている気がする。改稿するとしたら要素を削って例えば

博愛の虹の境に隠れたる独りの君に握手しに行く

みたいになるだろうか…。これでもテーマの分量が多い気がするので精進が必要かも。

結:くつひもを結び直して行く君のヒーロー色がたなびいている

結も苦労した。結局「靴紐を結び直す」の発想で候補を絞り、果穂だろうということで詠んでみた。ただかなりシンプルな作品なのであまり書くことがない。当初は季節を読み込むことも考えていたのだが、いずれもしっくりこなかったので、果穂の長くてきれいな髪が風に吹かれている様子にしたかったので最終的にこうした。どうしても果穂の髪は「ヒーロー色」にしたかったのもある。

歌会時に他の作品を見て、靴紐で被ってしまったなという印象があったので、情景の選び方にもう少し飛躍ができるように精進したい。


短歌詠むのは面白いなあと思いながら、やはり題材の取捨選択と圧縮の仕方、テーマの焦点にバシッと言葉を持ってくるみたいな細かいことで歌のクオリティが変わるんだなあと思った。もう少し精進したいですね。

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